『国宝』を読む。
うそ。Amazon Audibleで聞いたのでございます。
上巻で20時間以上もございますので最後まで聞けるだろうかと不安に思うところもありましたが、冒頭から文章と語り口の美しさに魅了されてしまったのでございます。
小説は数多あるわけでございますが「これは今まで触れた小説とは違うようだ」とわずか数行で感じさせられたのでございます。
時の娯楽は瞬時に面白みを視聴者、読者に伝えて引き込まねばならないという流れにあり、小説という形態はマイナな趣味になっております。
その小説もできるだけ早い段階で読者をとらえなくては続きを読んでいただくことは叶いません。
『国宝』は場面の派手さやミステリではなく場面描写と語り口の美しさ、醸し出す品位によって私の興味を強烈に引き付けたのでございます。
なに「ございます」をつけるくらいで文章に品位が得られると思っているのかですと、その通りでございます。美しいでございますか?
それにしても上下40時間は長すぎじゃろがいと思っていたが、各巻後半10時間は「特別音声版」として同じ内容が収録されているのであった。
「むむっ、デジャブ?」と思わせられたが、繰り返しか~い!と10時間もたってからやっと気づいて安心させられたのでございます。
朗読している方も登場人物によってきちんと声を使い分けているのでプロの声優さんかと思ったが、舞台のシーンがあまりにもそれっぽく、調べてみると歌舞伎役者の尾上菊之助さんという人だった。
歌舞伎の場面の発声のうまさは納得だが、登場人物により声を使い分けるのが実にみごと。歌舞伎役者の能力の高さをまじまじと感じた。
Amazon Audibleでは俳優・女優が朗読することもあるのだが、彼らはやはり自分が強く出てしまい、登場人物による使い分けができない。キムタクに顕著だがあの野郎はどの役やっても自分そのまんまである。
人によっては朗読もままならず、途中で聞くのをやめてしまうこともある。
ところが声優さんは実に上手に声を使い分ける、一人で何役もこなしてその声色でキャラクターが容易に判別できる。特殊な訓練を経て声優になったのだなぁと思わされるのである。
『国宝』のオーディオブックは文章の品位をさらに高めるような声の調子と声優のような人物の使い分け、歌舞伎のリアルな演技を尾上菊之助氏が見事演じ切っているのでございます。
ストーリーも面白かった。上下巻の長い物語だが、読者を引っ張るリーダビリティもしっかりしている。名作だった。
もちろん映画が超話題だったので聞いたのだが裏切られなかった。
映画も見てみたいなぁ、テレビの前で3時間もじっとしていられるだろうか。
羽田空港第一ターミナルのスマイルカレー。「甘っ!レトルトみたいっ」と思ったが食べ進めると辛くなった。
注文用端末では大盛りがデフォルトになっているところに悪意を感じる。写真は普通盛。わんぱく小僧でなければ十分な量ですぞ。
